2020/08/28

人を幸せにするツール

 皆さま、いかがお過ごしでしょうか。

 一月(ひとつき)ほど前のブログで、当院の給食メニューが雑誌に載ったという話をいたしました。その際のメニューが『ハタハタの照り焼き』です。“秋田らしさ”を出すという意味でそれを選んだわけですが、実は「ラーメンがおいしい」という声をたくさん頂いております。他にも、コテージパイ、ミネストローネ、稲庭風うどん等、当院には自信を持って提供できるメニューが少なくありません。

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 さて話は変わりますが、人を幸せにする「ツール」って、どんな物があるでしょう?

 音楽、本、映画、それらもまちがいなく人を幸せにする「ツール」です。しかし、次のものを忘れてはいないでしょうか?・・・聞けば多くの人が納得すると思います。そうです。それは「料理」です。

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 『レミーのおいしいレストラン』という映画があります。ディズニーのアニメです。レミーというネズミ(ラット)が、実は「名シェフ」といった設定で話が進みます。

 本来、私はアニメ映画を好みません。しかし、この映画に限っては、何度も観ています。この作品を観ていると、なんだか“ほのぼの”としてくるのです。どうしてそういう気持ちになるのか?・・・一番の理由は、料理がおいしそうにみえるからです。

 子どもの頃、『アルプスの少女ハイジ』というアニメを観ていました。そこにはよく “とろけるチーズ”が出てきました。子ども心にも「おいしそう!」と思いました。この映画に出てくる料理もそれと似ています。

 『レミーのおいしいレストラン』で鍵となるメニューは「ラタトゥイユ」です。本来、ニース(フランス南部の町)の郷土料理とのことですが、今は世界中に広まっています。ちなみに当院の給食にも出てきます。

 そもそもこの映画の原題が『ラタトゥイユ』です。原題とラットをかけているところが、何とも愛らしいところです。

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 もう一つ、料理を題材にした映画をご紹介しておきましょう。

 私はこれまで、少なくとも千本くらいは映画を観てきました。その中で、五指に入るのが、『バベットの晩餐会』です。

 映画を観る上で、2つ重要なことがあります。一つは、観る前から期待し過ぎないこと。もう一つは、静かな環境で鑑賞することです。『バベットの晩餐会』も、一人静かな夜に「映画でも観るか」といった感覚で鑑賞して頂ければと思います。

 ストーリーについて少し触れておきます。

 時代は19世紀。舞台はデンマークの寒村。“カレイ”がたくさん並べて干されているシーンから始まります。そこで暮らす美人な姉妹。その姉妹は牧師である父の教えに従い、慎ましやかな生活を続けています。そこにフランスから中年女性が訪ねてきます。名前は“バベット”。バベットは姉妹にかくまって欲しいと懇願します。パリで革命が起き、もう逃げるところがないというのです。

 姉妹はバベットを受け入れます。以降、バベットは家政婦として働きます。それから10数年。姉妹の父を祝う会が催されることになりました。その機会にこれまでの恩返しをしたいとバベットは申し出ます。

 恩返しとはフランス料理をふるまうことでした。フランスから材料を仕入れ、料理に打ち込むバベット。その料理を食べた人は皆、幸せな気持ちになります。一方で、仕事をやりきったバベットの姿も映し出されます。バベットが有名な女性シェフであった過去も判明・・・。こういった内容です。

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 この映画は慎ましやかに生活していた人たちが、豪勢なフランス料理を食べてハッピーになるといった単純な話ではありません。職人としてのプライド、与えることでしか得られない幸せ、果ては人生の意義、そういったものを全て含んでいます。とりわけ私は、故郷を想いつつも「この村で生きていく」とした決意に胸を打たれました。

 結論を言ってしまいますが、バベットの料理を食した人々は、自分の人生に対して肯定的になります。それは、料理が人々を幸せにした「証拠」です。

 皆さまも、是非ご覧になって、幸せを共有して下さい。

令和2年8月28日
院長 松本康宏