2021/09/07

山で遊ぶ

 みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

 今回も、森吉山について書きます。森吉山は、阿仁スキー場に設置されたゴンドラを利用すれば、初心者でも登りやすい山です。ゴンドラの到着駅から山頂までは1時間20分。私も子どもと一緒に何度か登りました。

 30年程前、阿仁スキー場と森吉スキー場を結ぶ壮大な計画がありました。結局、自然保護団体の反対もあって、その計画は頓挫します。加えて、その後スキー人口が減少したため、森吉スキー場は閉鎖され、今は阿仁の方しか残っていません。

 阿仁スキー場が生き残ったのは、先ほど述べたゴンドラの影響も大きいように思われます。スキーだけでなく、紅葉や樹氷を観るためにゴンドラを利用する人が少なくないからです。

 森吉山(阿仁スキー場)に行くには、比較的長い距離、山あいの道を通らなければなりません。その際には、「よくここを見つけたな~」とか「どうしてここを開発地に選んだのだろう?」とした考えが浮かんできます。

 以前、そんなことを考えながら運転していると、ふと『スローライフ』(岩波新書)という本を思い出しました。これは筑紫哲也さんが書いたエッセイ。タイトルから察する通り、気忙しく生きていることの反省とゆったりした時間を持つことの重要性について書かれています。

 筑紫さんといえば、『NEWS23』の元キャスター。知的で自由な感じのする人でした。彼は、若かりし頃、入社試験の愛読書欄に「列車時刻表」と書いたそうです。それほど旅が好きだったのでしょう。実際、この本を読むと、旅に関する逸話がいくつか出てきます。その一つが早稲田大学の『観光学会』に関するもの。

 彼が、早稲田に在籍していた当時、『観光学会』という旅行サークルがありました。これは、西武グループの堤義明さんが立ち上げたサークルです。そのため、就職難の時代には、西武に入社するために、このサークルに所属していた学生も多かったようです。こういった考えに反発し、筑紫さんは、純粋に旅を楽しむことを目的として、新しい旅行サークル、『早大旅の会』を立ち上げます。

 他方、堤義明氏は、かつて「世界一の資産家」と言われた人物。まだ世間に知られていない、風光明媚な場所を探し出し、そこを開発して儲けるのが彼の手法でした。森吉を開発し、スキー場を作ったのも堤氏です。ただ、彼の目的がすべてビジネスだったかというと、私はそうは思いません。堤氏の哲学には、「働き過ぎの日本人には、もっと遊びが必要」といったものも含まれていたと思います。

 そういった意味では、筑紫さんと堤さんは同じなのかもしれません。すなわち二人とも、「仕事も大事だけど、遊びも大事」と考えていたのです。

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 コロナのせいで、閉塞感が漂っています。遊びにもなかなか身が入らないご時世。そんな中、彼らの熱情を思い出すと、少し元気が湧いてきます。

令和3年9月7日
院長 松本康宏

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