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お知らせ

2021/08/20

当院は今年で90周年を迎えることができました。(記念対談掲載)

90th
anniversary
  90周年

地域の皆様に支えられ、90周年を迎えることができました。

<三島教授、松本院長 90周年記念対談>
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司会

今回、秋田大学の三島教授をお迎えし、当院院長と対談して頂くこととなりました。
テーマは『これからの精神医療について』です。それではよろしくお願いいたします。

三島教授

松本先生は、秋田回生会病院に勤務されて何年目になるのでしょうか?

松本院長

平成16年から勤めています。ですから今年で18年目になりますね。

三島教授

院長になられて、何年目でしょうか。

松本院長

5年目になります。

三島教授

私が秋田回生会病院に初めてお邪魔をしたのは30年以上前ですが、ずいぶん変わりましたね。
当時は歴史を感じさせる木造の建物もありました。
今は施設も新しくなり、何よりも医師をはじめさまざまな職種のスタッフがだいぶ充実したのではないですか?

松本院長

そうですね。今、常勤の精神科医が9名います。
それから、僕が赴任した当時は、作業療法士は2名しかいませんでしたが、それが現在9名になっています。
精神保健福祉士も6名だったのが13名にまで増えています。

三島教授

特に近年の精神医療では、医者や看護師をはじめ、多職種によるチーム医療が重要視されているので、
作業療法士や精神保健福祉士が増えたことで、医療の質の向上につながっているのではないですか?

松本院長

おっしゃるとおりです。作業療法の件数も増えていますし、相談の電話もひっきりなしにかかってきています。
それだけ需要があるんでしょうね。

三島教授

また、患者さんの退院促進や地域移行が云われている中、今後、益々、退院した患者さんを地域でどう支えていくかが重要になりますね。
秋田回生会病院では訪問看護も始めたと聞きましたが・・・。

松本院長

ええ。4年前に訪問看護ステーションを立ち上げました。現在、4名のスタッフで行っています。
アウトリーチには、これからさらに力を入れたいと考えています。

三島教授

そのためには地域とのつながりが大事ですね。その点は、何か取り組んでいますか?

松本院長

そうですね。牛島地区にも『地域包括支援センター』がありますが、そことも仲良くさせてもらっています。
共同で『医療と介護を考える会』という「集い」も立ち上げました。地域には、高齢者施設で働いている方がたくさんいらっしゃるので、その方々と顔の見える関係を構築したいと考えています。

三島教授

そのような関係は、一朝一夕にできるものではないですよね。

松本院長

これまでも『健康を考える集い』という会を病院が主体となってやってきました。
これは、色んな立場の人が「集える会」です。こういった会を開催することで、病院外の人たちと交流するノウハウが蓄積されてきたのだと思います。

三島教授

参加する方からしても、全く知らない場所に出向いたり、知らない人に会いに行くのは勇気がいりますからね。
お互いに顔の見える機会を設ける取り組みは効果的だったのでしょうね。

松本院長

そうですね。実は、これまで10回行った『健康を考える集い』が、今力を入れている「依存症ミーテイング」にも、つながっているような気がします。

三島教授

今、依存症の話が出てきましたが、秋田回生会病院は診療に力を入れているようですね。

松本院長

ええ、国は依存症対策の支援体制の整備を図るため依存症対策全国拠点機関(依存症対策全国センター)の設置を進めていますが、当院も今年(令和3年2月)、専門医療機関に認定されました。
「グループミーティング」や「回復支援プログラム」を施行しています。

三島教授

精神科では、依存症の中でも振戦せん妄を起こすような慢性アルコール依存など重症度の高い患者さんを主に診てきましたが、この領域は裾野が広いですからね。必要なのに医療を受けていない人も多いと思います。
秋田ももっと依存症を診てくれる病院があると助かるけれど。

松本院長

おっしゃるとおりで、一次予防が必要な軽症例に対する取り組みもまだまだですし、最近ではゲーム依存など非物質系の嗜癖で困っているけれど治療を受けていない方がたくさんいます。
自画自賛になりますが、当院は県内でもっとも依存症の問題に真摯に取り組んでいる医療施設の一つだと思います。

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三島教授

話は変わりますが、医療経済環境が厳しい中で、施設管理者として病院経営の舵取りにも苦労されているのでは?

松本院長

確かに年々厳しくなっているのは事実です。ただこれは当院に限ったことではありません。どこの病院も同じです。ですから今いる職員の力を充分引き出すことが大事だと思います。
なお、これからは特色がない病院は淘汰されます。認知症疾患センターを作るとかスーパー救急をやるとか、思春期病棟を作るとか、依存症の拠点病院になるとか、少なくともどれかをやらなければと考えています。

三島教授

確かにそうですね。秋田回生会病院は外来患者さんが多い印象がありますが、外来部門の拡充などは考えていませんか?

松本院長

ええ、サテライトクリニックなどですね。当院は割と地の利があるので、一日50人位の患者さん(デイケアを除く)が受診してくれています。
それでも利用者さんは交通弱者が多いため、外来は秋田駅から歩いて行ける所にあった方が便利です。作るならそこですね。

三島教授

今、世の中の動きが速く、何年もかけてじっくり構想を練ることができるような時代ではないので、スピード感も大事ですね。
弊害も指摘されているけど、大学も学長の権限を強めて、トップダウンで指示を出さないと「取り残される時代」。「選択と集中」、その発想下で、プロジェクトチームを作り、どんどん動かしていく、そういうフットワークも大事ですね。

松本院長

おっしゃるとおりだと思います。昔の30年が今の10年に値しますね。

三島教授

秋田回生会病院ほどの規模の病院だと、各職域の個別事情に長けたブレインにも育ってもらってチームで組織を動かしてもらわないと。院長一人ではバーンアウトしてしまいそうですね(笑)。

松本院長

そうですね。そのためには、もっと人材育成に力を入れないといけません。
本当のことをいうと、僕は研修会なんかに行っても人は育たないと思っています。才能のある人に大きな仕事を任せて、それをやりきってもらう、そういう機会を増やさないといけませんね。

司会

お話が尽きないようですが、最後にこぼればなしを頂けますか?

三島教授

私は松本先生の研修医時代からお付き合いさせていただいていますが、とにかく昔から聞き上手でしたね。
決して、ガツガツと出しゃばることはないけれど、最後は、松本先生が言った意見で周囲がまとまっていくような感がありました。
若くしてこのような大きな病院の院長に抜擢されたのも頷けます。
ただ秋田回生会病院は規模が大きいので、さっきもお話させてもらいましたが、組織の更なる発展のためには将棋の飛車角みたいな人材を育てていくべきだと思います。

松本院長

本日はありがとうございました。
三島先生は、私が研修医時代の指導医の先生です。また学位も指導して頂きました。一から仕事というものを教えて頂いたのが先生です。
あれからずいぶん時間が経ちましたが、こういった対談をして頂けたことに運命的なものを感じています。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

対談:令和3年5月6日(掲載文は対談の一部に限ります。)

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