2020/12/25

コロナとうつーその4

 皆さん、こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。 今回は『コロナとうつ』の第4回目、最終回です。

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 前回のブログで、うつが軽症の場合には「気分転換」が有効と書きました。

 その「気分転換」。多くの方が、普段から心掛けているかとは思います。しかし、実際、有効にできているかというと必ずしもそうではなさそうです。

 例えば、お酒。酒で気分を紛らわそうとする人はめずらしくありません。しかし、一人で飲むとたいてい逆効果です。それは飲みながら嫌なことを思い出してしまうからです。だからどうせ飲むなら、気の合う仲間と街に繰り出し、別の話題をしてくるべきです。つまり、思考の「転換」が必要というわけです(ただこれも、コロナ禍で簡単にはいきませんね)。

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 「幸せになる方法ってないかなぁ・・・」、誰もが一度はそう思ったことがあるのではないでしょうか。仕事柄もあってか、私も時々そんなことを考えます。しかし、幸福とは追求すればするほど遠ざかるもののようです。果たして、それはどうしてでしょう。おそらくそれは、今あるもの(今ある「いいこと」)に目がいかず、無いもの(不足しているもの)に目がいくから、というのが私の考えです。

 では、幸福の追求が難しいのであれば、「不幸を回避する」という方法で幸せに近づくことはできないものでしょうか・・・。それはある程度可能な気がします。なぜなら「不幸を回避しよう」と思えば、できることがいくらでも見つかるからです。生命保険に入る、少し貯金をしておく、資格を取る、普段から気立て良くしておく、健康に配慮する、趣味を持つ・・・等々。

 また、そういったことを思い浮かべていると、多くの人が、次のことに気付くと思われます。それは、「すでに自分が持っているものもたくさんある」という事実です。

 「なんといっても自分には家族がいる」とか、「仕事は大変だけど、資格がある」とか、「お金はないけど、体は丈夫」とか・・・。以前、菅直人元首相が「“最小不幸社会”を目指す」と発言した時がありました。それを聞いた際は、一国の首相が「夢のないことを言うな~」と思いましたが、あながちまちがいではなさそうです。

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 前回は「デフォルトモードネットワーク」について記しました。またデフォルトモードといっても、ポジティブモードとネガティブモードがあり、ポジティブモードでの瞑想が“うつ”の予防に役立つのではないかといった話をいたしました。

 ポジティブな瞑想に入るには、「くつろげる空間」と「スイッチ」が必要です。

 当院では毎週、依存症ミーティングを行っています。その際、会の始まりに参加者から「最近あったいいこと」を伝えてもらいます。「家族が病院に連れてきてくれた」「散歩の時に見た夕日が綺麗だった」「病院に行ったら、検査結果が良くなっているといわれた」「こないだ食べた団子がおいしかった」「子どもとスキーに行く予定を立てた」・・・等々、たくさんの「いいこと」が出てきます。

 私を含め、「いいこと探し」をしているときの皆さんは、ポジティブな瞑想に入っているように思えます。おそらく「いいこと探し」は「スイッチ」の役割を果たしているのでしょう。

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 さて、今年はこれで最後です。このブログを通し、皆さんと交流できたことが、私にとって「いいこと」の一つでした。この場をお借りして、感謝申し上げます。来年が皆様にとって幸多き年になるようお祈り申し上げます。

令和2年12月25日
院長 松本康宏