2020/08/17

コロナ時代の病院と大学

 みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

 私はたまに、何冊か新聞を買い込み、それらを見比べて楽しんでいます。

 その際気分はジャーナリストの池上彰氏。ただ、池上氏は毎日欠かさず、12紙に目を通しているとのこと(『朝日』『毎日』『読売』『産経』『日経』『東京新聞』『中国新聞』『信濃毎日』『大分合同』『京都新聞』『朝日小学生』『毎日小学生』。)私とはレベルが違い過ぎます。

 さて8月8日の見出しは、朝日、読売、毎日の3社ともテーマが一致していました。しかしタイトルは微妙に違っています。朝日が「感染状況 6つの指標」、読売が「感染状況 4ステージ」、毎日が「コロナ感染6指標」。

 私は、毎日の「コロナ感染6指標」が一番分かりやすいと感じました。おそらくこの見出しをつけた人も、翌朝各紙を見比べて、悦に入ったのではないでしょうか。

 今でこそ、ネットより情報が遅れがちな新聞ですが、毎日発行するには時間的余裕がありません。だから、こういった見出しをつけるのもセンスと反射神経が必要です。

 新聞はかつて、活字のブロックを組み合わせて版を作っていました。時間に追われて活字を組む作業は大変だったと思います。印刷が始まってからまちがいを発見しても、今のようにコンピューターの上で直すようなことはできません。組み直す時間がない時には、最終手段として鉛のブロックを削るしかありませんでした。それ故、私が子どもの頃は、一部が空白になっている記事を見かけることもありました。新聞を読みながらそんなことを思い出していた次第です。

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 私はデジタルが苦手です。スマホで記事を読んでいても、いつのまにか“ぼうっー”としてきますし、パソコンで作った文章も、いちいち印刷して確認しないとおかしな点に気付きません。講演もWebだと、「気付いたら、いつの間にか終わっている」といったかんじです。

 ただこういった体験は、程度の差こそあれ、多くの人に共通するものではないでしょうか。では、どうして、そうなるのか?それを考えた時、「同じ姿勢で小さな画面を見ていると、覚醒度が落ちてくるから」とした理由が浮かびます。しかし、それだけで説明がつくほど脳は単純ではありません。その点、脳科学に詳しい方に聞いてみたいところです。

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 話は変わりますが、今、コロナのせいで、大学生が気の毒な状況に置かれています。授業がオンラインばかりになっているのです。中には、入試以来一度もキャンパスに行っていない学生もいるとのこと。

 すでに大学に仲間がいる人は、授業がオンラインになっても、どうにかなるでしょう。しかし、一年生は、知り合いを作る間もなく今回自粛を強いられました。そのためアパートに引きこもり、配信されてきた授業を眺めているだけの生徒もいると思います。

 コロナに関しては、「唾液が飛び交う場所」を避けることが重要です。具体的には、ライブハウス、カラオケ、飲み会、接待を伴う飲食店、スポーツジム、室内で行う部活などです。満員電車やパチンコ店は「三密」ですが、ほとんどクラスターを起こしていません。そう考えると、感染しやすい場所や行為を禁止にした上で、日中のキャンパスはオープンにしても良いのではないでしょうか。実際、大学生を除き、他の学生はみんな、学校に出かけています。

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 大学の意義は多様です。

 『薔薇の名前』という映画があります。この映画を見ると、いかに昔、本が貴重であったかが分かります。サスペンスの舞台はイタリアの修道院。時代は14世紀。グーテンベルグが活版印刷術を発明する前です。当時、学問を志す者は、原本の在りかを訪ねました。近代的な大学ができる以前は、修道院がそういう場所だったのです。

 しかし今や、本は勿論、最新の情報でさえ、誰でも簡単に手に入る時代です。それでも多くの人が大学に行こうとするのはなぜでしょう。それは大学が学術情報を伝えるだけの場所ではないからです。

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 オンライン授業しか受けることができない学生を気の毒に思うのは、私がデジタルに疎いことも影響していると思います。それでもやはり、大学にはアナログ的な時間や場所が必要です。

 コロナの時代。病院も大学も、感染対策と人との交流を可能にする「新しいスタイル」が求められているのでしょう。

令和2年8月17日
院長 松本康宏