みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
今回は、「体験」について話をしてみたいと思います。
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高校生になってから少し勉強をしただけで成績が伸びる人がいます。元々、頭も良いのでしょうが、話を聞いてみると、小さい頃、本や図鑑をたくさん読んでいたという人が少なくありません。おそらくその体験が活かされているのでしょう。
遊びも同じです。大人になって、初めてやろうとしても、簡単にはいきません。子どもの頃、やったことがあるかどうかによって違ってきます。
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認知症を予防するキーワードは次の2つです。それは「運動」と「好奇心」。「好奇心」を持つというのは、興味を持って「色んなことをしてみる」ということです。
では、好奇心を持ち続けるには、どうすればいいのか?その鍵は、「これまでの経験」と「人とのつながり」にあります。
例えば、中高年の人が、家族から「家にじっとしていないで、釣りにでも行ったら」とか「将棋教室にでも入ればいいじゃない」と言われたとします。しかし、これまでしたことがなければ、そう簡単に「行ってみる」とは言えません。年を取ってからだと、糸の結び方や将棋のルールを覚えるのでさえ困難です。その点、経験者は違います。ちょっとしたことをきっかけに、またやる気が湧いてきます。すなわち、体験が体験を呼ぶのです。
好奇心を持ち続けるには、「人とのつながり」も重要です。例えば、カメラに関心を抱いても、写真を見せる相手がいなければ、次第に興味が薄れてきます。あるいは、大きな魚を釣ったとしても、喜んでくれる人がいなければ、楽しみが長続きしません。だから、何かに関心を持ち続けるコツは、一人ぼっちにならないことです。
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近頃、コロナの影響で遠出ができません。そのため、身近な所で楽しんでいます。
例えば、森岳で“じゅんさい”を採ったり、雲昌寺で「紫陽花」を鑑賞したり、田沢湖でカヤックに乗ったり、そんな小旅行を体験しました。
そこで3つの場所で気付いたことを書き留めておきます。
<森岳でのじゅんさい採り>
何度も口にしていた“じゅんさい”ですが、恥ずかしながら、これまで何なのか知りませんでした。手に取って初めて、まだ開いていない状態の“葉っぱ”だということが分かりました。また値段の高さにも納得がいきました。頑張って採っても、3時間でバケツ半分程度。そうたいした量になりません。
<雲昌寺の紫陽花>
紫陽花の時期、北浦の雲昌寺は賑わいを見せます。その際、入道崎に立ち寄る人も少なくありません。そこでお土産を買う人もいれば、昼食をとる人もいます。私もイカ焼き定食を食べてから、お寺に向かいました。紫陽花は人を喜ばせるだけでなく、男鹿の町おこしにも寄与しています。<田沢湖でのカヤックツアー>
カヤックから眺める田沢湖は格別。湖水はまるで青い絵の具を溶かしたかのよう。ツアーは3時間で5000円弱と、リーズナブル。田沢湖のカヤックツアーは、思ったほど危なくなく、子どもと行っても楽しめます。
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じゅんさい採りや紫陽花鑑賞、カヤックツアーといった体験が、何の役に立つかは分かりません。しかし、今こういったことをしておくと、将来、また「やってみよう」という気にはなりそうです。
令和2年7月31日
院長 松本康宏