2021/10/29

女性たちのおはなし会

 みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

 今年の9月から『女性たちのおはなし会』を催しています。これは、「依存症」を抱えた女性の会。初めに、私が話をして、その後、女性スタッフと当事者だけでミーティングが行われます。

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 初回は、映画の話をしてみました。選んだ作品は、『クレイマー・クレイマー』『ランボー』『嫌われ松子の一生』『危険な情事』、この4つです。

 『嫌われ松子の一生』と『危険な情事』は、ボーダーラインパーソナリティを知るのに役立ちます。『ランボー』は、PTSD。ボーダーラインパーソナリティとPTSDの共通項は「トラウマ」です。

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 さて今回のブログでは、『クレイマー・クレイマー』を取り上げ、「女性の気持ち」や「家族関係」をみていきたいと思います。

 『クレイマー・クレイマー』とは、クレイマーさん対クレイマーさんという意味。あらすじはこうです。

 クレイマー家は3人家族。30代とおぼしき夫婦に、小学一年生くらいの息子(ビリー)がいます。夫(テッド)はハードワーカーでやり手。会社で出世をし、さらに大きな仕事を任されることになりました。自宅に戻り、勇んで妻(ジョアンナ)に報告するテッド。しかし、ジョアンナは喜んでくれません。それどころか、物憂げな表情さえ浮かべています。そして彼女はこう述べます。「私はここにはいられない、ここから出て行く・・・」。ジョアンナは、家事や子育てをこなすだけの毎日に疑問を抱いていたのです。

 最初はすぐに戻ってくるだろうと踏んでいた夫(テッド)。しかし、妻(ジョアンナ)の決意は揺るぎませんでした。

 妻が出て行ってからのテッドは悪戦苦闘の毎日です。朝いそいでフレンチトーストを作ろうとすれば、火傷をし、子育てのために仕事もはかどらず、ついには職場も解雇されてしまいます。

 そんな中、ジョアンナからテッドに連絡が入ります。ジョアンナが子ども(ビリー)を引き取りたいというのです。勝手に出て行ったにもかかわらず、こんどは子どもを渡せというジョアンナにテッドは怒りがおさまりません。譲らない両者。養育権は裁判に委ねられます。

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 結局、養育権はジョアンナ(母)に渡ることとなりました。映画の最後、ジョアンナがビリーを迎えに来ます。しかし、ここでどんでん返しが起こります。

 場所はマンションの一階。ジョアンナを出迎えたテッドに、彼女は泣きながらこう伝えます。「ビリー(息子)は、やはりあなたといた方がいい・・・」。そう語るジョアンナに、今度はテッドがこう告げます。「そんな大事なことは自分から息子にいわないといけない」。承諾したジョアンナは、ビリーのいる部屋に向かうため、エレベーターに乗り込みます・・・それが最後のシーン。

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 さて、あらすじを読んで、みなさんは、どう思われたでしょうか。意見が分かれるのは、ジョアンナの生き方です。とんでもないと思う人もいれば、同情する人もいると思います。

 性役割に関して、“もやもや”した気持ちを抱いている人はたくさんいます。配偶者と話し合うのは重要ですが、場合によっては、この映画の結末のようになりかねません。まずは仲間内で、そして談笑交じりに語り合う方が無難です。

 そういった面でも『女性たちのおはなし会』がお役に立てれば幸いです。

令和3年10月29日
院長 松本康宏

追伸:11月9日(火)18時~19時、依存症のWEBセミナーを行います。当事者からもお話をして頂く予定です。是非、ご参加下さい。詳しくは、当院医療相談室まで。