皆様、いかがお過ごしでしょうか。
今年はコロナに加えて、大雪。本当に大変ですね。お互い励まし合いながら、何とかこの冬を乗り切りたいものです。
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コロナが拡がる前、私はしばしば東京に出かけていました。泊まる場所はたいてい品川。あるとき、ふと標識に目をやると、「柘榴坂(ざくろざか)」と記されています。
「ああ、ここだったのか」。私はすぐさま『柘榴坂の仇討』という映画を思い起こしました。作品自体はフィクションですが、この坂から名前を借りてきたのはまちがいなさそうです。
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ここで少しこの映画についてご紹介させて下さい。
『柘榴坂の仇討』は、時代に取り残された、お侍さんの話です。明治になっても、ちょんまげを結い、はかま姿でいることがそのことを証明しています。
主人公の名は金吾(中井貴一)。腕がたつことから、主君、井伊直弼(いいなおすけ)の護衛にあたっていました。
井伊直弼(いいなおすけ)は幕末の大老です。日米修好通商条約を結んだ人物としても有名。「条約など結ばず、外国と戦え」とした声が上がる中、「外国と戦っても勝てない」「負ければ日本が植民地になってしまう」というのが直弼の考えでした。
直弼は、条約を結んだことで、反対派から激しく糾弾されます。それを抑えにかかったのが「安政の大獄」。それに対する反対派の仕返しが「桜田門外の変」です。その変で直弼は命を落とします。#映画では、「桜田門外の変」を“桜田騒動”というフィクションに置き換えています。
“桜田騒動”の際に、主君(直弼)を守れなかった金吾は、藩に切腹を申し出ます。しかし、それは叶わず、暗殺者を探し出し、必ず首を持ち帰ってくるよう命じられます。それが今回の「仇討ち」。しかし見つからぬまま、時は流れます。金吾がついに暗殺者(阿部寛)を見つけたのは、“桜田騒動”から13年を経た、明治6年のことでした。
主人公の一途さ・不器用さに加え、主人公を支える妻(広末涼子)のけなげさがこの映画の味となっています。
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昨年末、ブログで「半年くらいでコロナは収束してくるのではないか」ということを書きました。しかし、これは単なる予想に過ぎません。収束しないこともあり得ます。もし長期に渡って収束しなければ、コロナは人々の生活を一変させるに違いありません。
時代は常に変化しています。歴史的にみても、第二次世界大戦、大政奉還、江戸幕府や鎌倉幕府の設立といったできごとが、日本人の生活や価値観を一変させてきました。
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ではコロナのせいで時代はどのように変わるのでしょうか。
(誰でも予測できることですが)一つはデジタル化の加速。リモートによる会議や集まりが増え、そこでテンポよく気の利いたコメントを発する人が人気を博します。もう一つはデリバリー(配達)の増加。人々は店に行かず、自宅で物事を済ませようとします。
しかし、昭和(過去)を引きずった私は次のようにも考えます。
<はじめのうちはリモートで器用に受け答えする人がもてはやされるかもしれない。しかしそのうち、貴重な経験を有している人や物事の本質をつかむのが得意な人が求められるようになる><ネットで注文し配送してもらうのは確かに便利。だけど、店に行かないと気分転換にならない>
・・・そんな言い訳がましいことを考えているうちに思い出したのが、先の映画(ちょんまげ、はかま姿の主人公「金吾」)というわけです。
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主人公(金吾)は、心の中で仇討ちを済ませ、最後は妻と新しい人生を歩みます。私も早く、新しい生活に慣れなければと考える次第です。
令和3年1月15日
院長 松本康宏
追記:近々、Zoomで「依存症」の学習会を行います。詳しいことが決まり次第、ホームページでお知らせいたします。是非、ご視聴頂きますようお願い申し上げます。