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2024/02/16

自殺予防ーその2

 みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

 

 今回は「自殺予防―その2」。カウンセリングを題材に「居場所」について考えてみたいと思います。

 

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 カウンセリングを行うにあたって、いくつか重要な原則があります。その一つが、「枠作り」です。一週間に1回なら1回、決められた日の決められた時間に、セラピストとクライアントが会う約束をし、互いにそれを順守します。

 

 では、枠を作ることが、どのような役割を果たすのでしょうか?一つは、クライアントの「依存」に対応しやすくなります。気持ちに余裕がなくなれば、誰かにしがみつきたくなるのが人間です。そのため枠を作っておかないと受診が頻回になったり、夜間に病院に駆け込んだりして、関係を続けるのが難しくなります。そこで前もって、きちんと会う約束をし、安定した関係を築こうとするのです。

 

 また、枠を作ることで、クライアントがどの程度、約束を守れる人なのかが分かります。パーソナリティに大きな問題を抱えている人はなかなか枠(≒約束)を守ることができません。こういったことから診断に役立つのです。

 

 さらに、次のようなことも判ります。仮にこれまできちんと来ていた人がカウンセリングに遅刻したり、キャンセルをしたとしましょう。そうした場合、その近辺で(あるいは前回の面接で)心理的に重要な出来事が起きたのではないかと推測できるのです。

 

 こういった約束のもと、治療が継続されていきますと、カウンセリングの空間がクライアントにとってちょっとした「居場所」になってきます。ここでいう「居場所」とは物理的な空間であると同時に、「ここにいてもいいと思える」心理的な空間でもあります。

 

 居場所ができると投げやりな気持ちが減り、それと同時に余裕が生まれてきます。その結果、「次のカウンセリングでは何を話そうかな」といったことまで考えるようになります。

 

 ここまでくれば、だいぶ良くなってきたといえるでしょう。なぜなら「このことを話そうかな、それともあのことにしようかな」と考えを巡らす過程で、その人にとって大事なことが判明してくるからです。

 

 以上、カウンセリングの流れから、居場所が果たす役割についてみてきました。

 

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 <居場所・生きがい・支え>、これらを失うと自殺のリスクが高まります。そのため、失ってしまった人は、新たにこういったものを作っていかなければなりません。一方、失っていない人は、<居場所・生きがい・支え>といったものを保持していくことが望まれます。

 

 居場所はカウンセリングに限ったものではありません。デイケアや依存症ミーティング、訪問看護も重要な居場所となりえます。

 

 当院はこういった「居場所」を提供していきたいと考えています。

 

令和6年2月16日

院長 松本康宏

 

 

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