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2024/09/27

精神障がい者の理解ーその1再掲

 みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

 

 この度、3年前に掲載した『精神障がい者の理解』を再掲載いたします。9月27日、9月30日、10月2日、10月4日、10月7日の5回に分けて、ブログに上げる予定です。日常、患者さんと関わる上で、あるいは病気のことを理解する上で、参考にしていただければ幸いです。

 

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 まず初めにお伝えしたいことは、精神疾患はとても「身近なもの」だということです。認知症、統合失調症、躁うつ病(双極性障害)、うつ病、神経症、知的障害、発達障害、依存症・・・といった具合にたくさんあります。

 

 ちなみに認知症の方は日本に600万人くらい、統合失調症、双極性障害、アルコール依存症の方は、それぞれ100万人くらいいると推定されています。

 

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 講演をすると、しばしば「関わり方」についてもっと知りたかったと云われます。そこで、今回、精神障がい者の「理解」だけでなく、「関わり方」についても触れようと思います。

 

 「関わり方」に関して、最初に押さえておくべきことは、精神疾患を有している人も有していない人も「本質的には同じだ」ということです。ということは、「精神療法」以前に、「礼節」が重んじられるということです。まずそこを押さえておかないと、技巧ばかりに走って、頭でっかちな対応に陥ってしまいます。

 

 ただ、精神疾患を有している人と、有していない人に「差」があることも事実です。その差とは、「余裕のなさ」と言い換えることもできるでしょう。

 

 例えば、次のような状況をイメージしてみると分かりやすいかもしれません。自分が、昨日、全然眠れなかったとします。それでもやらないといけないことが山積み。そんな時、周りから、せかされたり、難しい注文を付けられたら、どういう気持ちになるでしょう。「うるさい!」と言いたくもなるのではないでしょうか。そういった「余裕のなさ」が精神障がい者にはあるということです。

 

 なお、信じられないかもしれませんが、極めて難しい患者さんと関わると、治療者の方が患者さんより余裕がなくなってしまうことがあります。そうなれば、治療者を交代するしかありません。

 

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 最後にもう一つ、重要な「見かた」をお伝えしておきます。

 

 それは、精神障がい者とは「何かを失った人」だという見かたです。失ったものは、健康かもしれませんし、大切な人かもしれません。あるいは、自信や生きがい、そういった目に見えないものかもしれません。

 

 このように、「この人は何を失ったのだろう」と思いながら関わると、両者の関係はおのずと情緒的な色彩を帯びてきます。

 

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 医療に携わると、たくさんの患者さんと出会います。あまりにも多くの患者さんと関わるため、次第に人を診るというより、病気を診るようになってきます。そんな時、「この人は病気になって何を失ったのだろう」と考えてみてはいかがでしょう。きっと初心の頃の自分に戻れるはずです(次回に続く)。

 

令和3年4月23日(令和6年9月27日再掲)

院長 松本康宏

 

追伸:以上の文章は、西園昌久氏の『精神療法入門』『力動的精神療法』『精神療法の現場から』(いずれも中山書店)を参考にさせてもらいました。

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