2025/01/06
人と地域を
もっと健康に
文化の力
明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
皆様は、お正月、どのようにお過ごしになられましたでしょうか。
私は遠出をせず、映画を観に出かけたりしていました。鑑賞した映画は、『グランメゾン・パリ』です。これはいい映画でした。おおげさではなく、「文化の力」を感じさせられました。フランス料理には、今もって圧倒的な力があることを思い知らされた次第です。
『グランメゾン・パリ』は、5年前にテレビで放映されていた『グランメゾン東京』の映画版です。シェフの木村拓哉さんが周囲の力を借りながら、本場パリで三ツ星を取ろうと奮戦します。スクリーンからは、その熱意がひしひしと伝わってきました。
なお、この映画には、仕事に情熱を持った大人たちがたくさんでてきます。主演の木村拓哉さんも、準主演の鈴木京香さんも、年齢的にはオジサン・オバサン。そこがまた私に響きました。
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私はグルメではありませんが、料理はすばらしいものだと考えています。料理を題材にした映画も好きです。普段アニメ映画を観ないにもかかわらず、なぜか『レミーのおいしいレストラン』だけは何度も観ています。また、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ主演の『幸せのレシピ』も好きな映画の一つです。デンマーク映画の名作『バベットの晩餐会』は、何度かこのブログでも取り上げさせてもらいました。
料理には、「人を幸せにする力」が確実にあると思います。
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『グランメゾン・パリ』で主役を演じた木村拓哉さん。彼は、普段から熱量の高い人物のようです。一緒に仕事をしたメンバーは、「このままだと倒れるんじゃないか」と心配しますが、本人はいたって平気。「オフというのが何なのか分からない」「一日一日を大切にしたい」「そうしないともったいないお化けが出ちゃう」と語っています(キネマ旬報より)。
木村さんが出演するドラマといえば、最近は「職人ドラマ」が多いように思います。今回の『グランメゾン』でも、演じた役は、仕事に打ち込むシェフでした。
仕事のプライオリティをどこに置くかは人それぞれです。ただ、仕事を面白くしたいなら、どうしたって、ひたむきさは欠かせません。チンタラやって面白くなることなどないからです。木村さんはそのことを、ドラマを通して教えてくれています。
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年が新しくなりました。私は新年のあいさつで職員に「いい医療をしよう!」と呼びかけました。それは、「いい文化を作っていこう!」ということでもあります。「いい文化」を作るのは簡単なことではありません。『すずめの学校』では、ダメです。誰かがラッパを吹いて、みんながついていく。そういったやり方をしているところは、大抵文化的に未熟です。
いい文化を作るには、「病院の事務員として利用者に何ができるか」「給食の満足度を高めるにはどうすればいいか」「楽しくて価値のあるデイケアを作るにはどうすればいいのだろう」「行動制限を減らすことはできないだろうか」「もっとなごめる入院環境を作れないだろうか」、そういったことをそれぞれの立場で考え、対策を講じていくことが必要です。
それともう一つ、いい文化を作る上で欠かせないことがあります。それは他者をリスペクトして、“いいところ”を取り入れていくという姿勢です。
映画の終盤、自分の原点を思い出した主人公は次のように語ります。「そうだ!思い出したわ」「寿司やてんぷらもおいしいけどさ。50年前とあんまり変わってないんだよな」「その点、フランス料理は、他の国から、いろんなものを取り入れてどんどん進化している」「それがすっげぇ面白くて、俺はフレンチを始めたんだ」。
そのことに気付いた主人公は、スタッフのいいところ、各国・各地域のすばらしいところを取り入れ、一流のフランス料理を作り上げます。まさに、この取り組み方こそ、フランス料理が世界一であり続ける所以でした。
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「いい文化」を作るには、職員皆様の協力が必要です。どうか力を貸してください。そして、利用者の皆様には、これから進化を遂げる回生会に期待を寄せていただきたいと思います。
令和7年1月6日
院長 松本康宏