2025/04/18
人と地域を
もっと健康に

こころの臨床
みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
長い冬も終わり、新緑の季節となりました。これからの時期、青森県の十二湖は最高です。周囲に広がるブナ林。木漏れ日のなかを散策していると、別世界にきた感覚にとらわれます。私が訪ねたきっかけは先輩の言葉でした。「十二湖いいぞ。松本も行ってみたらどうだ」。結果、その通りにしてよかったと思います。みなさんもぜひ訪ねてみてください。
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さて、いつも戦国時代の話ばかりしているため、今回は「未来」の話をしようと思います。今年の10月19日に開催される第39回『こころの臨床研究会』についてです。『こころの臨床』は、複数の病院が持ち回りで開催し、今年は当院がその担当。現在、準備を進めている次第です。
私は研修医の頃から、この会に参加しています。以前は、泊りがけで行われていました。熱くてガサツな時代。ベテランの看護師や医師たちが、精神障がい者を地域でどうやって支えていくのか、酒を飲みながら大声で語り合っていました。現在は午前中が講演会、午後が分科会と一日で完結するようになっています。また、中身も変わりました。親睦会的な要素が薄れ、その分、アカデミックな会へと変貌しています。
『こころの臨床』は元々、統合失調症をもつ人たちを地域でみていこうとした趣旨で集まった会です。そのため、統合失調症をテーマにすることが多かったのですが、今は認知症や発達障がい、依存症など幅広いテーマを扱うようになっています。ちなみに今年は①ピアサポーターとは何だろう ②地域の高齢化に伴って見えてくるもの ③特性を障害としないために、としたテーマで分科会が開かれる予定です。
参加者の構成も昔と比べてずいぶん変わりました。かつては医師、看護師、患者さんのご家族が主なメンバーでしたが、今は、精神保健福祉士や作業療法士、臨床心理士などが加わり、多彩な顔ぶれとなっています。
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今回のテーマは『精神医療と共生社会~未来に向けて~』です。では、将来、精神科を取り巻く環境はどのようになっているのでしょう?私はその姿をかなり “ポジティブ”に捉えています。
世の中には運命論者がいます。「いくら頑張っても、運命は決まっている」「前世や遺伝子等によってあらかじめ定められている」。こういった考えをする人たちです。でも本当にそうでしょうか。
<勇気を出して好きな子に声をかけたら、そこから交際が始まり結婚にいたった><知人が薦める場所に思い切ってでかけてみたら、想像していた以上に素敵な場所だった><デイケアに行ってみたら楽しくて毎日通うようになった><最初は抵抗があったけど訪問看護を利用してみると、それが待ち遠しい時間になった>・・・。
改めて思い起こしてみると、行動してみたことで「未来」が変わった経験をみなさんもお持ちではないでしょうか。
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運命はまちがいなく変えられます。精神科の未来だって、私たちの取り組み方次第でいくらでもよくすることが可能です。
『こころの臨床』で「未来」について語り合いませんか。10月19日を今から楽しみにしています。
令和7年4月18日
院長 松本康宏