2025/05/12
人と地域を
もっと健康に

こどもの日
みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
5月5日こどもの日。私は新聞を読んでいました。
報道によると、総務省が国連の調査をもとに人口4千万人以上の国について分析したところ、37カ国中、子どもの割合が最も低かったのは韓国(10.6%)。次いで日本(11.1%)、イタリア(11.9%)、スペイン(12.9%)と続いたそうです(朝日新聞2025.5.5)。
では、韓国、日本、イタリア、スペイン、これらの国に共通するものは何でしょう?私のイメージだと、以上の国は少し前まで家父長制が残っていた国。すると大黒柱であるお父さんが経済的に不利になるような施策は打てません。結果、若者にしわ寄せがきます。
若者にお金が回らなくなると、結婚しなくなったり、子どもを作るのを控えたりするようになります。そのせいで、子どもの割合が少なくなっているのではないか?読みながら、そんなことを考えていました(当たっているかどうかは分かりません)。
また、次のような記事もありました。総務省が人口推計をもとに算出したところ、こどもの数(15歳未満)は1366万人。50年前と比べて46%まで減少。都道府県別に子どもの割合をみると、秋田県が最も低く8.8%。最も高いのは沖縄県で15.8%であった(朝日新聞2025.5.5)。
秋田県が低いのは経済的な要因が大きいと思われます(若い人を惹きつける仕事が少ない)。一方、沖縄県が全国で一番高いのはなぜか。ネットで調べてみると、<沖縄には「子どもは宝だ」とか、「子育てはなんとかなる」といった価値観が残っている>とした意見が載っていました。
そのうち、私の頭のなかで、次のような疑問も湧いてきました。<アレ?なんか変だな。これは少子化の問題であって、「子ども自体」の話ではない・・・>。
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山形県の酒田市にお薦めの場所があります。土門拳写真美術館です。先の連休中、私はそこを再訪しました。土門は昭和を代表する写真家。一番有名な作品といえば、『古寺巡礼(こじじゅんれい)』でしょうか。美術館には、寺院や仏像、昔の子どもたちの写真がたくさん展示されています。個人的には、子どもの写真に一番惹きつけられました。
よく「昔の子どもたちの方がイキイキしていた」という話を聞きます。本当かどうか分かりませんが、土門の写真を見ていると、たしかにそんな気がしてきます。そのうち、どうして昔の方がイキイキしていたのだろう?そういった疑問も湧いてきました。
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思えば戦後、私たちの社会は、子どもたちから多くのものを奪ってきました。
奪ったものの一つは、「遊び場」です。道路はひっきりなしに車が通るため、安心して遊ぶことができません。加えて、山や川には行ってはいけないといわれます。(「事故が起きたらどうする」といわれると私も答えようがありません)。といったことで、外で遊ぶとしたらうんていとブランコがある公園くらい。昆虫がいる山や魚釣りができる川と比べると遊び場として見劣りします。
他にも奪ったものがあります。例えば、「友達と遊ぶ機会」。今は日中親が在宅している家庭が少ないため、近所の子どもたちや学校の友人を自宅に招きにくくなっています。さらには、「時間」もそうでしょう。昔より忙しくなった結果、子ども特有の空想に耽る「時間」(≒夢を膨らませる時間)が奪われている気がしてなりません。
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少子化の話も大事ですが、『こどもの日』にはこういったことを考えてあげるべきではないでしょうか。
令和7年5月12日
院長 松本康宏