2025/10/20
人と地域を
もっと健康に

逆境体験
みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
以前、山田洋次監督の『こんにちは、母さん』をご紹介したことがあります。
“あらすじ”はこうでした。
悩みを抱えた主人公(大泉洋)がいっときの安らぎを求め、実家の母(吉永小百合)を訪ねます。母は下町で一人、足袋屋を営んでいました。「きっと地味に暮らしているに違いない」。そう思い込んでいたところ、予想が外れます。不思議なことに母がときめいているのです。どうやら好きな男性がいるようでした。そのため、落ち込んでいる自分とは波長が合いません。主人公はやるせなさを募らせます。
このように、『こんにちは、母さん』は奇想天外な話ではありません。しかし、なぜか作品から“味”が醸し出されています。それはおそらく、山田監督の「体験」が影響しているのでしょう。
山田監督は、若かりし頃、山口から東京の大学に進学し、寮生活をしていました。そこに実家から連絡が入ります。母が好きな男を作って家を出ていったとの知らせでした。面食らった山田監督。寮で一人、やるせなさを募らせます。
こういった山田監督の若い頃の体験が映画に“味わい”をもたらしているのだと思います。
人も同じで、 “味”を醸し出している人と醸し出していない人がいます。
では、どういう人物が「味のある人」かというと、タモリさんなんかがまっさきに頭に浮かびます。
タモリさんは小学生の頃、針金が目に刺さり、片目を失明しました。その際は、本人も家族も悲嘆にくれたに違いありません。にもかかわらず、彼は明るく、前向きに人生を歩みます。つらい過去を語らず、今も多くの人に笑いを届けています。
『こんにちは、母さん』とタモリさんに共通するワードは、広い意味での「逆境体験」。それが“味”になっているのです。
逆境体験なんてないに越したことはありません。しかし、仮に負の体験をしたとしても、それを正のエネルギーに変える力が人間には備わっていることを忘れてはならないと思います。
令和7年10月20日
院長 松本康宏
追記:10月28日『オリナス祭り』が開催されます。楽しい会になりそうです。みなさまのご参加をお待ちしています。