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2025/11/07

サインとリスク

 みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

 

 11月12日『ゲートキーパー養成講座』で話をすることになりました。ゲートキーパーとは別名「命の門番」。自殺の“サイン”に気付くことが一番の役割とされています。自殺予防は、専門家だけでなんとかなるものではありません。そのため、多くの方に関心を持っていただく必要があります。なおゲートキーパーになると、ちょっとした特典もついてきます。それは会で得た知識が自分のメンタルヘルスにも寄与するということです。

 

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 先程、自殺の“サイン”に気付くことがゲートキーパーの役割と述べました。その“サイン”とは、狭い意味で捉えると、自殺をほのめかすサインということになります。急に身辺を整理し出したとか、何十年かぶりに旧友が会いに訪れたとか、別れ際のあいさつがいつもと違っていた、などです。

 

 ただみんながみんなサインを送るかというとそんなことはありません。送らない人も多々います。そのため、もっと前の段階で「精神変調」に気付いてあげることが大事です。例えば、「最近やたらと、ため息が多いな」とか「眠れていなそうだな」とか「妙に落ち着きがないな」とか、そういった精神的な変化です。このような “うつ”を疑わせるサインは、自殺をほのめかすサインより気付きやすいし、対処しやすいように思います。

 

 さらに話を進めると、このように“サイン”に気付くことも大事なのですが、本人が抱えている「問題」に気付いてあげることも大事です。実際、聞き出してみると、介入しづらい問題もありますが、力になれることも少なくありません。

 

 なお、失業、多重債務、離婚、多量飲酒、体の病気、うつ、こういった問題は、自殺のリスクを高めるとされています。さらに、このようなリスクは連鎖しやすく、負の相乗効果を引き起こしがちです。離婚してから飲酒量が増えて脳卒中になったとか、退職してから飲酒量が増えて“うつ”を合併したなど、複数のリスクを要しているケースは危険と考えてまちがいないでしょう。

 

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 では、ここまで述べてきたサインとリスク、どちらを学ぶことが大事でしょうか?答えは両方ということになりますが、一つしか選べないとすれば、私はリスクの評価の方を推します。なぜなら、先述したようにサインは出ないこともありますし、前もって「リスク」が高いことを知っていると、「サイン」にも気付きやすくなるからです。

 

 失業、多重債務、離婚、多量飲酒、体の病気、うつ……長い人生、避けられないことも多々あります。そういった際には、いかにしてリスクを連鎖させないか(1つでとどめるか)、いかにしてリスクを一つでも減らせるか、この点に留意していただきたいと思います。もちろん、この考えは大切な人を守るだけでなく、自分を守る上でも役立ちます。

 

 最後に……、現時点で心理的に余裕のない方も、回復した暁には、自殺予防の活動に携わっていただければ幸いです。苦しかったときの経験が、今度は多くの人を救うことにつながるのではないでしょうか。

 

令和7年11月7日

院長 松本康宏

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