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2026/01/23

内館牧子さんーその2

 みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

 

 今回は前回のブログの続きです。内館牧子さんを偲び、以前彼女の作品について書いたブログを再掲します。

 

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~バランスのとれた生き方~

 

 若い頃、クーラーのないところに住んでいました。暑い日には、涼しいレストランで長時間粘ります。その際、よく読んでいたのが『週刊ポスト』。雑誌には内館牧子さんのエッセイが載っていました。

 

 おそらくそのこととつながっているのでしょう。先日、暑い日のこと。私は久しぶりに『週刊ポスト』を読みたくなりました。目を通したのち、こんどは書棚から本を取り出します。手にしていたのは、内館牧子さんの『終わった人』でした。

 

 今回、その本についてご紹介します。

 

 主人公は六十代の男性、田代壮介。元銀行マンです。壮介は東大を出て大手銀行に入ります。野心も能力も備わった壮介。当然、役員を目指します。しかし、出世には運も必要。念願かなわず、出向先で定年を迎えます。六十三歳のときでした。

 

 定年後、穏やかに過ごす人はごまんといます。しかし、壮介は違いました。カルチャーセンターやスポーツジムに出かけても、気持ちが満たされません。仕事をしていた頃のような充実感が得られないのです。

 

 「あなたの人生、ビジネスマンとしては成功した方よ」「そろそろ成仏してもいいんじゃない」

 

 妻や周囲はそう言ってくれます。でも当の本人が納得できません。自分自身に対してです。

 

 定年して九か月、壮介に転機が訪れます。ジムで知り合った若い社長から会社の顧問を依頼されたのです。引き受けた壮介。仕事を再開し、充足感を取り戻します。さらに社長が急死したことで、自分がその会社を引き継ぐこととなりました。

 

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 私は読みながら、「主人公(壮介)は依存症だな」と思いました。メガバンクの部長ともなれば、大金を動かします。大きなプロジェクトを任されることもあれば、海外を飛び回ることもあるでしょう。ハラハラドキドキ。毎日がギャンブルです。

 

 そういった人が仕事という依存性物質を取り上げられると、禁断症状が出てもおかしくありません。「能力はあったのに役員になれなかった」、そういう思いがあるとなおさらです。ギャンブル依存症の人と同様、「夢よ! もう一度」と思ってもなんら不思議ではありません。

 

 結局、壮介が引き受けた会社は倒産してしまいます。結果、壮介は自分が築いてきた財産をほとんど失ってしまいました。

 

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 今回の『週刊ポスト』には、石坂浩二さんのインタビューが載っていました。若い頃から活躍し、現在八十三歳になった石坂さん。今も俳優業を続けながら、絵を描いたり、プラモデルを作ったり……、充実した生活を送っています。仕事一筋だった壮介にもこういった仕事以外の楽しみがあったら良かったのかもしれません。

 

 なお、石坂浩二さんによる次の発言も印象的でした。

 

 〈大切なのは『肯定』と『否定』を半分ずつ持つこと。たとえばテレビや芸能界を50%は肯定するけど50%は否定します。肯定がないと落ち着けないし、否定がないと変化や進化が生まれません。これは仕事に限らず、人生のあらゆることに通じる考え方だと思います。〉

 

 「こんなはずじゃなかった」「もっと違う生き方があるはずだ」そのように考えるのは悪いことではありません。でも、「よくここまでやってきた」「自分の人生も捨てたものじゃない」そう考えておくことも大事なのでしょう。

 

令和6年8月21日(令和8年1月23日再掲)

院長 松本康宏

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