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2026/02/20

10年後20年後の精神科

 みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

 

 人間、ゆっくり起きてきた変化には、なかなか気付くことができません。ましてや、その変化が「良い変化」だとなおさらです。なぜなら、現時点ではそれが当たり前になっているからです。そこで今回は、<この30年で精神医療や障害者を支える環境がどの程度進化したのか>、その点について検証してみようと思います。

 

 精神医療においては、以下のような<エポックメーキング>がありました。

①統合失調症の呼称変更(2002年)

②発達障害者支援法の施行(2005年)

③うつ病の治療が拡がる(2000年頃より)

④非定型抗精神病薬の登場(1996年)

⑤医療観察法の施行(2005年)

 

 ①~⑤についてそれぞれコメントします。

 

①統合失調症に呼称が変更されたのは良かったと思います。このことで差別や偏見が減りました。

②「発達障害者支援法」ができた影響も大です。その影響は教育や医療の分野に留まらず、社会全体に及んでいます。

③うつ病の治療を受ける人が増え、「誰でも精神疾患になる」「病気になるのは気持ちが弱いからではない」、そういった考えが周知されるようになりました。その結果、うつに限らず、他の精神疾患に対する偏見も減ったように感じます。

④これに関しても良い副産物がありました。新しい薬が出たことで従来行われていた多剤大量処方が見直されるようになりました。

⑤医療観察法は完璧な法律ではありません。しかし、ないよりはあった方がいいし、実際、それなりに成果をあげることができているように思います。

 

 

 次に<障害者を支える環境の変化>をみてみます。

①支援が多職種で行われるようになりました。

②情報を隠さずに説明、患者さんの意思・選択を尊重するようにもなりました。

③家族が障害者を支えるという考えから、「社会が支える」という考えに変わっています。

④支援施設や関連施設が増加しています。

 

 ①~④について補足します。

 

 まず①に関して。30年前は、医師と看護師だけで患者さんをサポートしている感がありました。勿論、ケースワーカーや心理士、作業療法士もいることにはいましたが、今とは比較にならないほど少ない人数でした。

 

 ②の「告知」に関しては今から考えると不思議です。統合失調症を「神経衰弱」と伝えたりしていました。昔と今とでは社会的な背景が異なるため、一概に昔のやり方が間違っていたとはいえません。しかし、自分が当事者であれば、本当のことを伝えて欲しかったと思います。

 

 ③に関しては、「考え方」が欧米に近づいてきたのでしょう。これまで日本は障害者の支援を家族に頼りすぎてきました。障害者を支えるのは社会であるとした観点から精神科の入院も見直されてきています。

 

 ④以前は認知症になってもすぐに入れる施設がなく、家族がみるしかありませんでした。また、統合失調症や発達障害をサポートする体制も以前と比べてかなり充実しています(デイケア、訪問看護、就労支援施設など)。

 

 以上、精神医療や障害者を支える環境は、30年前と比較すると格段に良くなっていることが分かります。きっと10年後、20年後の精神科はさらに進化していることでしょう。個人は衰えても、社会は少しずつ良くなっていくというのが私の持論です。

 

令和8年2月20日

院長 松本康宏 

 

 

追記:3月14日『新・当事者の声を聴く会』を開催します。今年は横手興生病院さんとのコラボです。多くの方のご参加を期待しています。

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