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2024/03/06

ゴジラ3.3

 みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

 

 告白から始めます。私は『ゴジラ-1.0』(ゴジラ・マイナスワン)を4回も観てしまいました。そのうち1回は、途中で病院に呼ばれたため、タイトルは「3.3」としています。

 

 今回はそんな映画のご紹介です。

 

 舞台は、戦後まもない東京。主人公は特攻隊あがりの青年、敷島(神木隆之介)です。敷島はひょんなことから子連れの女性と暮らし始めます。女性の名前は大石典子(浜辺美波)。子どもは大石が拾ってきた戦災孤児です。

 

 『ゴジラ-1.0』は主人公がトラウマを乗り越える話です。最後のシーンがそれを示しています。大石は涙ながらに敷島に尋ねます。「あなたの戦争は終わりましたか?」と。

 

 敷島はトラウマに悩まされてきました。自分がゴジラと対峙できなかったことで仲間が死んでしまったからです。

 

 主人公がPTSDの映画は珍しくありません。『ランボー』や『タクシードライバー』なんかもそうです。ただこういった映画は重苦しくなりがち。でも今回の『ゴジラ』は違います。トラウマを持った人々がみんな前を向いて歩んでいます。

 

 『ゴジラ-1.0』は、極めて完成度の高い作品です。シナリオは何度も練り直されたに違いありません。モーツァルトの楽譜やフロイトの原稿には書き直しがありませんでした。しかし一般人の場合、そうはいきません。仕事の完成度を高めようとすると、何度もやり直しが必要です。

 

 なお『ゴジラ-1.0』は作り手の自己満足で作られたものではありません。あくまで「観客を喜ばせたい!」、そういう気持ちで作られています。木造のおんぼろな舟でゴジラと戦うシーン。これは完全に海洋アドベンチャー。さらにそこへ戦艦高雄(たかお)が出現します。軍艦好きには垂涎ものです。昭和のレトロな町も再現されました。日劇や朝日新聞社ビルがあったかつての有楽町。古い街並みを写真で観るのが好きな人にとってはたまりません。一方で作り手の矜持も感じさせます。「絶対ヒットさせてやる!」といったプロ根性です。

 

 監督の山崎貴さんは、これまで『永遠の0』『ALWAYS三丁目の夕日』『アルキメデスの大戦』といった作品を世に出してきました。今回の『ゴジラ-1.0』は、過去の作品で培ったモノが活かされています。さきほど述べた軍艦やレトロな街並みがそうです。さらに、ゴジラの終わらせ方まで過去作からヒントを得ています。

 

 もし自分が『ゴジラ』の監督だったとしたら・・・、みなさんならどこからシナリオを考え始めますか?私なら、ゴジラの始末の仕方から始めます。最新兵器で倒すのか、海に戻すのか・・・。

 

 今回は「浮力」を武器にしました。浮力が働かないようにしてゴジラを海に沈めようとしたのです。浮力といえば「アルキメデスの原理」です。監督が考えたのか、スタッフが思いついたのかは分かりません。しかし、『アルキメデスの大戦』、このタイトルからヒントを得たのはまちがいないでしょう。

 

*****

 『ゴジラ』を観ていると、うらやましくなります。それは作り手がいい仕事をしているからです。

 

 「他人を喜ばせようとエンターテイメント性を高めたり」「みんなで何かを作ったり」「事業を成功させようと執念を燃やしたり」・・・、こういったワクワク感は娯楽からはなかなか得られません。基本、仕事から得られる楽しみです。

 

 4月1日の入社式では、そういった「仕事の楽しさ」をご紹介できればと考えています。

 

令和6年3月6日

院長 松本康宏

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