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2024/04/05

卑弥呼の魔鏡

 みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

 

 今日は「魔鏡」に関する話です。

 

 先日、「卑弥呼の魔鏡」に関する記事を見つけました。魔鏡とは光を反射させた際に、裏の模様が浮かび上がる不思議な鏡。例えば、鏡の裏にお釈迦様の姿が描かれているとそれが光の像に出現します。それを邪馬台国の女王、卑弥呼が1800年も前に用いていたという事実・・・。万人受けするネタでないことは承知しています。しかし、書かずにはいられません。

 

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 幼い頃、自分が何かを発見した気になって、「すごい!」と思った経験はありませんか。私が記憶に残っているのは、次のような体験です。

 

 金属製の缶の蓋。その裏に日光をあてると光が反射します。その光を天井に照らすと、光の像が浮かびます。今だと何とも思いませんが、それに気付いたときは、大発見をしたような気になりました。

 

 歴史の教科書には必ず銅鏡の写真が載っています。丸くて大きな「青銅鏡」。緑がかった青色をしているのは、銅が錆びているからです。「これが鏡?」「磨くと鏡になるのかな?」「デコボコ(装飾)があって使いにくそう・・・」。子どもの頃、不思議に思っていました。

 

 実は、私たちが写真で見ている銅鏡は、鏡の「裏」の部分です。表は水平になっていて、そこが現在の鏡の役割を果たします。邪馬台国の有力な候補地、纏向近辺(まきむく:奈良県)でもこういった銅鏡がたくさん出土しています。

 

 邪馬台国といえば、女王卑弥呼です。魏志倭人伝には「卑弥呼は鬼道を使って衆を惑わす」と記されています。鬼道とは呪術の一つで、神道の源流と考える人もいます。ではどのような術を卑弥呼は施したのか?・・・詳細は未だ不明です。しかし「銅鏡」を用いたのはまちがいありません。

 

 2000年近く前のことを想像してみて下さい。人々は太陽や山、川などを崇めていました。その頃、仏教はまだ伝来していません。当然、科学的な思考はなく、反射の原理など知る由もありません。

 

 そこに一人の巫女が現れます。太陽神を司ることから、日巫女(ヒミコ)と呼ばれました。「彼女の神通力を一目見たい」、多くの人がヒミコのもとを訪ねます。

 

 ヒミコは滅多に姿を見せません。しかし、ここぞという時には人前で神通力を見せつけたはずです。まず来客の前に鏡を提示します。さきほどお話しした立派な鏡です。鏡を通して初めて見る自分の姿。人々はさぞかし驚いたことでしょう。

 

 ヒミコは次に、人々を屋敷に案内します。そこで見せたモノが光の像です。鏡から反射された光の像。私が子どもの頃、驚いたように2000年前の民衆も驚嘆したに違いありません。

 

 さらにヒミコの魔術は続きます。こんどは「太陽の神を出現させる」というのです。薄く磨かれた鏡を取り出し、光の像を映し出します。なんとそこには人とも太陽ともとれる「模様」が映っているではありませんか。来客はおそるおそる尋ねます。「これはなんですか?」。ヒミコはおごそかに答えます。「これが太陽の神さまです」。・・・それを前に人々はひれ伏したことでしょう。これが卑弥呼の「魔鏡」です(YouTubeで映像もご覧ください)。

 

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 このように卑弥呼は鏡(宗教)を用いて人々を統治しました。そのあたり、天皇家とのつながりを示唆します。やはり、邪馬台国はヤマト王権とつながっているのではないか?私はそう推測しますが、反論はたくさんあるでしょう。卑弥呼の魔術は今なお人々を惑わし続けています。

 

令和6年4月5日

院長 松本康宏

 

追記:4月7日、『当事者の声を聴く会』があります。ぜひ、みなさまご参加下さい。

 

 

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