2024/05/23
人と地域を
もっと健康に
子どもの体験格差
みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
今回は、『秋田 子どもの羽ばたき』という支援団体に宛てた私の寄稿文を掲載します。
【応援してください】
『秋田 子どもの羽ばたき』が3周年を迎えましたこと、心よりお慶び申し上げます。
昨今、子どもの数が急速に減少しているのは皆様もご存知かと思います。そこから想像するには、少ない子どもを大切に育てている家庭でしょう。一方、貧困に陥り、ハンデを背負ったまま大人になる子どもが未だにたくさんいることも事実です。
政府は子ども支援として①教育支援②経済支援③生活支援④就労支援をうたっていますが、欠けているのが「体験支援」です。
『秋田 子どもの羽ばたき』は、子どもの貧困問題に光をあて、サポートが不十分な子どもたちに、知識や体験を提供していく取り組みを続けてきました。
社会に出て大事なことはこれまで培ってきた体験です。自分を大事にしてくれた人、色んな立場の人、多くの友人、こういった人々と触れ合った体験が社会で健やかに暮らすための土台となります。
『秋田 子どもの羽ばたき』の具体的な取り組みとして次のようなものがあげられます。写真教室・パソコン教室・農業体験・木工製作体験・ゴルフ教室・プリザーブドフラワー教室・バーベキュー体験・振り袖体験・メイク体験・話し方教室・本のソムリエ、といったものです。ご協力いただいた方には本当に頭が下がります。しかし、対象となる子どもが多いため、まだまだ十分とはいえません。
かつてこの団体の代表がこんなことを仰っていました。「残りの人生、子どもの支援に時間を使いたい」。それを聞いた際、『生きる』という映画を思い起こしました。あらすじはこうです。
舞台は戦後まもない日本。役所勤めの男はもうすぐ定年を迎えようとしています。仕事は書類に目を通してハンコを押すだけ。陳情にやってくる市民を横目で見ています。そんな日々を送っていた男性があるとき癌に罹患します。当時、癌は不治の病でした。
混乱する男性。パチンコ屋やキャバレーで浪費しますが、気持ちが満たされません。そんななか、出会った女性からヒントを得ます。その女性は自分の仕事に満足していました。自分の作ったぬいぐるみが子どもたちを幸せにすることを知っていたからです。
男性は思い出します。「そういえば、市民が公園を造って欲しいと嘆願に来ていたな」と。残りの人生を公園づくりにかけた男性。最後、完成した公園のブランコで息を引き取ります。
私は、誰かのために必死になっている人を応援したいと思います。皆様もどうかこの団体の発展に力をお貸しください(終)。
<追記>
社会に出て、どんな力が求められるかというと、私は「総合力」だと思います。総合力とは、健康、知性、自己肯定感、コミュニケーション能力、見た目、器用さ、優しさ、勇気、家事能力、子育て能力、マナー、こういったものが組み合わさったものです。
では総合力を身につけるにはどうすればよいのか。それは小さい頃から「良い体験」を積み重ねていくことです。しかし、そういった機会に恵まれない子どもたちもいます。虐待を受けたり、貧困に陥っている子どもたちです。
上にご紹介した『秋田 子どもの羽ばたき』という団体は、こういった体験格差の問題に取り組んできました。今回、寄稿文を掲載したのは、このような活動を多くの方に知っていただきたかったからです。寄稿文の内容も私から団体へ宛てた「応援歌」であると同時に、多くの方へ宛てた「応援要請歌」となっています。
大人が変わらなければ、子どもの未来は変わりません。そういう私もハンコばかりついていないで「何とかしないと!」と考えています。
令和6年5月23日
院長 松本康宏