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2024/09/06

「ゆらぎ」

 みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

 

 秋になりました。夜、外を歩いていると、虫の音が聞こえてきます。そしてなんだか、脳のノイズが消えて、疲れが取れてくるような気がするのは、私だけでしょうか。

 

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 昔、読んだ本にこんなことが書かれていました。「一年に1冊くらいは詩集を買おう!」。私は強く共鳴し、「自分も和歌や詩に親しみたい」、そう思いました。しかし、「人生老い易く 学成り難し」。30年経った今も、その手の教養は身についていません。

 

 「柿食えば 鐘がなるなり 法隆寺」(正岡子規)。秋の句で、思い出せるのはこれだけです。そんな私ですが、この歌が「いい句だ」というのは分かります。なぜなら、読んで穏やかな気持ちになるからです。句のリズムが自分の何かと共振するのでしょう。情景が浮かんでくるのと同時に、本当に鐘の音が聞こえてくるような気がします。

 

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 私が、「ゆらぎ」という言葉を強く意識したのは、『すべての疲労は脳が原因2』(梶本修身著)という本を読んでからです。以下、その一部を抜粋します。

 

 <温度などが固定された人工的な環境は、逆に我々の疲労回復を妨げます。ヒトは、適度な環境の変化による「ゆらぎ」を心地よいと感じるからです。>p177

 

 <疲労との関わりが深い自律神経もまた、「ゆらぎ」のリズムを持っています。自然環境と生体の「ゆらぎ」が共鳴すると、ヒトは快適さを感じてリラックスします。>p178

 

 みなさんも、思い当たるのではないでしょうか。

 

 焚火の炎をみたり、バーベキューの際に起こした火を眺めていると、気持ちが“うっとり”としてきます。浜辺に出かけて、長時間釣りをしても、心地よい疲れしか残りません。それは、浜辺に押し寄せる波音と関係していそうです。当直のとき、少しだけ部屋の窓を開けておきます。すると、疲れが軽減するような気がします。

 

 著者のいうとおり、自分が持ち合わせている「ゆらぎ」と自然環境の「ゆらぎ」が共振することで疲れが軽減するのでしょう。またこれは、「和歌」を読んだときの感覚と似ているような気がします。

 

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 私は、次のような論文を書いたことがあります。夜眠らずにいると、当然、眠くもなるし、脳のパフォーマンスも落ちてきます。そこで、体を動かしてみます。すると、眠気は軽減します。しかし、脳のパフォーマンスは落ちたまま。これは何を意味しているかというと、自覚的な眠気と脳の疲れは違うということ。さらにいうと、下手な眠気覚ましは、事故の原因にもなりかねないということです。

 

 同じことが、疲労と疲労感の違いにもいえます。カフェインなどで疲労感を軽減しても、疲労自体が軽減していなければ、いずれ病気になってしまいます。そのため、一時しのぎではなく、普段から疲労自体を軽減させるための工夫が必要。そこで「ゆらぎ」の活用というわけです。

 

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 では、携帯で、「波の音」や「鳥のさえずり」を聴くのはどうでしょう。今般発売された『AERA』(24.9.9)には、次のような記事が載っていました(これも梶本修身氏によるコメントです)。

 

 <波の音がするのに、マンション内の白い壁紙に囲まれていては五感が一致しないため違和感を覚えます。違和感は、安心できない環境を意味します>

 

 やはり、外に出て自然に触れた方が効果的なのでしょう。

 

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 秋は、「ゆらぎ」を体験しやすい季節です。外に出て、疲れを少し癒しませんか?

 

令和6年9月6日

院長 松本康宏

 

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