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2024/10/02

精神障がい者の理解ーその3再掲

 みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

 

 今回は、「精神療法」についてお話しいたします。

 

 精神療法には流派がたくさんあります。ただ、いずれも「作用機序」は共通しています。①支持 ②表現 ③洞察 ④訓練の4つです。

 

 ①の支持には、説明、再保証、元気づけ、環境調整といったものが含まれます。②の表現とは、カタルシス作用を期待したもの。話を聞いてもらうことで、気持ちがすっきりし、前向きになる作用です。③の洞察は、明確化や直面化。具体的には「あなたの悩みはこういうことですか?」「その時、あなたはどう思いました?」といったやりとり。④の訓練は、森田療法や認知行動療法が代表格。当院で行っている依存症ミーティングも④の訓練に含まれます。

 

 4つの関わりの中で土台となるのが、①の「支持」です。①を抜きにして②③④はあり得ません。

 

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 さて、紙幅の関係上、「元気づけ」と「認知行動療法」についてのみ、コメントします。

 

 まず、「元気づけ」について。

 

 ここ20年程の間に医者はかなり防衛的になりました。つまり訴訟を気にするようになったのです。だから、患者さんに対する説明も以前よりシビアになりがち。楽観的なことばかり言って、うまくいかなかった時に、「説明と違うじゃないか」と云われたら困るからです。

 

 ただこの歳になると「そうなったら、そうなったで仕方ないかなぁ」とも思えます。

 

 「治らないと思います」「最悪自殺するかもしれません」といわれて、元気の出る患者さんはいません。逆に「必ず良くなるよ」「もっと回復するよ」と言われると、希望が持てます。実際、それで元気が出て、治療に励み、予後が良くなることもあるでしょう。やはり治療に「元気づけ」は必要なのです。

 

 そういったことから、あまり厳しいことばかり言っていないで、「できるだけ、元気が出る話をしたいなぁ」と思い直している次第です。

 

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 次に、「認知行動療法」について。

 

 当院で行っている依存症ミーティングも認知行動療法をベースにしています。

 

 依存症は、脳の中に<やっかいな神経回路>ができた状態です。そのせいで、量・時間・場所といったものがコントロールできなくなります。

 

 一旦できた神経回路は簡単には消せません。何らかのきっかけでその回路が活性化すると、依存が形成されていない人の何十倍・何百倍といったレベルで「欲求」が生じます。

 

 だから、「きっかけ」を知り、それをうまく避けることが大事。また、それと同時に、欲求が生じた時の対処法を学んでおく必要もあります。こういったことをミーティングで「訓練」しているわけです。

 

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 冒頭で、<4つの関わりの中で土台となるのが、①の「支持」>と書きました。

 

 ミーティングに参加されている人をみると、訓練にもまして、回復に寄与しているのが、「つながり」だと分かります。この「つながり」こそ、精神療法でいうところの「支持」に他なりません。『Sunミーティング』も、「支持」が土台になっているのです(続く)。

 

令和3年4月28日(令和6年10月2日再掲)

院長 松本康宏

 

追伸:以上の文章は、西園昌久氏の『精神療法入門』『力動的精神療法』『精神療法の現場から』(いずれも中山書店)を参考にさせてもらいました。

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