2025/02/25
人と地域を
もっと健康に

仕事を楽しむ
みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
私は社会人になってからラッキーなことが重なりました。その一つが、上司に恵まれたことです。研究が好きな人、臨床が好きな人、草の根運動が好きな人、色んな人がいましたが、彼らには共通した特徴がありました。それは仕事を楽しんでいたことです。
ただ、みんながみんな私のように恵まれているわけではないでしょう。仕事を嫌々やっている上司の下で重たい気持ちになっている人も少なくないと思います。そんな人には、講演会や研修会への参加をお勧めします。そういった会で話をしている人たちは、たいてい仕事が好きな人たちだからです。
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来月当院で行われる研修も充実しています。院内だと、訪問看護のエキスパートである中村順子先生によるご講演、ニチイ学館に依頼した“ホスピタリティ”に関する研修会。院外だと、県から委託された「依存症に関する研修会」、『第10回当事者の声を聴く会』、「行動制限の最小化をテーマにした会(エーザイ主催)」。こういった会が開かれる予定です。
なお講演会に参加する際には、次のようなことを考えて、演者の話を聞いてみると面白いかもしれません。「演者はどういったきっかけで仕事が面白くなったのだろう」「仕事のどの部分を面白いと考えているのかな」「自分にもマネできるところはないだろうか」。そういった視点で話を聞いてみると、より充実した時間になると思われます。
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回生会は今年、以下の2つに力を入れています。
一つは“ホスピタリティ”の推進です。自分たちの接遇で患者さんやご家族が喜んでくだされば、私たちも嬉しくなります。それがやる気にもつながります。「感謝されることを期待するなんてプロ意識に欠ける」と叱られるかもしれません。しかし、人間とはそういうものではないでしょうか。“ホスピタリティ”を推進して、利用者にとっても職員にとっても気持ちのいい病院にしたいと思います。
もう一つは教育・研修の充実です。さきほどお話ししたように、3月だけとってみても講演会や研修会が目白押しです。それぞれの分野で活躍し、イキイキしている人から「エネルギー」と「仕事を楽しむコツ」をいただけたらと考えています。
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現在、日本の生産性は、諸外国と比べかなり低いところに位置しています(2022年、OECD加盟国38カ国中30位)。しかも今後ますます労働人口や労働時間が減少していくと予測されます。そういった背景もあって、最近しきりと、「生産性を高めなければ」といったことが言われます。しかし、そうは言われても個人や病院でできることには限りがあります。産業の新陳代謝や全国規模でのマッチングなどは個人や病院の力でできることではありません。
では私たちには何ができるのか。仕事の効率化や能力の向上といったものが思い浮かびますが、一番大事なのは本来仕事が持つ「楽しさ」に気付くことではないでしょうか。なおそれを可能にするのが“ホスピタリティ”の推進であり、教育・研修の充実だと考えます。
多くのスタッフが仕事の楽しさに気付いて、本当に楽しむことができれば、生産性はおのずと上がってきます。個人にとっても嫌々仕事をするより、よほどいい人生の過ごし方ではないでしょうか。
私たちは接遇力を高め、かつ研修を活発にすることで、より楽しんで仕事をしたいと考えています。
令和7年2月25日
院長 松本康宏