2025/08/12
人と地域を
もっと健康に

これからの依存症対策-その1
みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
9月4日に開催される精神保健福祉協会の研修会で、講演をすることになりました。タイトルは『これからの依存症対策』。その原稿をブログに記します。おそらく8回くらいのシリーズになるかと思います。根気強く、最後まで読み進めていただければ幸いです。
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はじめに、当院の紹介をさせてください。当院は職員が約300名います。職種別にみると、ケースワーカーが13名、臨床心理士が4名、作業療法士が13名。このあたりの人員配置は、地方の病院としては恵まれていると思います。
今の時代、病床が多いことは自慢になりません。とはいえ、397床と大きな病院ですから、色んなことをやっています。デイケアもありますし、訪問看護ステーションもあります。また、依存症や発達障がいを対象とした専門プログラムも複数行っています。
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依存症の話に入る前に、病院と会社の違いについて触れておきます。
一番大きな違いは、会社は商品の値段を決めることができるのに対し、病院は治療の値段をきめることができない。その点だと思います。
もう一点、大きな違いがあります。ここで、ケンタッキー・フライドチキンを思い浮かべてみてください。ケンタッキーのフライドチキンはとてもおいしいですね。私もときどき無性に食べたくなります。本当かどうか分かりませんが、このスパイスの調合方法を知っている人は世界に3人しかいないといわれています。会社にはこういった企業秘密があります。しかし、病院は秘密を作ってはいけません。新しい治療方法を見つけたら、それを広めないといけない、というのが医療のルールです。それによって多くの患者さんが救われるからです。
このあと、当院の取り組みをご紹介しますが、もし同じようなことをしてみようと思う方がいらっしゃれば、ぜひやってみてください。また、当院はいつでも見学を受け付けていますので、来ていただければ幸いです。
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さて、ここから依存症(主にアルコール依存症)の話に入ります。
依存症は極めて多い疾患です。人によっては「世界一多い病気」という人もいます。例えば、アルコール依存症だけでも日本に100万人くらいいるとされています。また、裾野も広く、1000万人くらいの多量飲酒者がいると推定されています。
いうまでもありませんが、依存症レベルの人には医療が必要です。他方、多量飲酒をしている人には保健活動が有効。いずれにせよ、欠かせないのが、世間の「理解」と「支援」です。そのため、今回のような研修会は大変意義のあることだと思います。
当院は依存症の拠点機関になっているため、年に5、6回、県内のあちこちに職員が出向き、依存症の講演を行っています。しかし、その程度だと全然足りないというのが私の実感です。地域の住民に対して依存症の情報を発信したり、依存症を抱えた人の受け皿となる場所が、拠点機関や専門医療機関以外にも必要。そういったことから、『これからの依存症対策』は、「サポート医」の養成が鍵になると考えています。
次回も依存症の話をします。引き続きご愛読いただければ幸いです。
令和7年8月12日
院長 松本康宏