人と地域を
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2026/02/06

昭和101年

 みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

 

 昨年、「昭和100年」という言葉をよく耳にしました。私同様、昭和を懐かしむ人が多いのでしょう。では、どうして懐かしく思うのか。それは昭和には今と違って「元気(エネルギー)」があったからです。

 

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 先日、「麻布台ヒルズ」を見学してきました。「ヒルズ」という名前から分かるように森ビルが6000億円かけて開発した街です。

 

 素人目には曲線(カーブ)や吹き抜けの多さが目につきました。カーブや吹き抜けが多いと、ゆっくり歩こうと思ったり、少し休んでいこうという気になります。精神科の病院には、機能性のみならず、“ゆとり”が大事です。もし新しい病棟を建てる機会があれば、「そういった面を取り入れたいなぁ」と思いながら、ヒルズ内を歩いていました。

 

 なお「麻布台ヒルズ」には、日本一の高さを誇る建物(森JPタワー)もあります。そこの展望台からは眼前に東京タワーを一望することができ、観光客から人気を集めていると聞きます。

 

 このように「麻布台ヒルズ」は令和の日本を象徴する“洗練された街”でした。しかし、気になる点もありました。それは何度も行きたいかというと、そうは思えなかった点です。展望台からの景色もすばらしいのでしょうが、何回か行くと飽きるのではないでしょうか。

 

 私は昨年、一人で3回、秋田の駒ケ岳に行きました。男岳から眺める田沢湖やムーミン谷は何度見ても飽きません。そこが人工物と本物の自然との違いだと思います。

 

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 「麻布台ヒルズ」に関しては、もう一つ気になったことがあります。それは、子どもを連れて行きにくい場所だということです。

 

 『バカの壁』で有名になった養老孟司さんは、「子どもは自然だ」と述べています。言われてみれば、たしかにそうです。山や川と同様、子どもには手をかける必要があります。しかし、かけ過ぎも良くありません。なお、現代社会は都市化が進んだことで、緑だけでなく、子どもが排除される世の中になっています。おしゃれな“大人の街”というのがその象徴です。しかし、緑がない街同様、子どもがいない町からは元気が失われます。

 

 「緑に包まれ、人と人をつなぐ『広場』のような街」。コンセプトのとおり、「麻布台ヒルズ」には、多くの植物が配置されていました。ただ、「緑」を意識したのであれば、「子ども」という自然も、もっと意識して良かったのではないでしょうか。すると、子どもを連れて行きやすい場所になっただけでなく、元気をもらえる街になったのではないかと思われます。

 

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 昭和と令和の違いは、元気と洗練度の違いです。この50年、日本は洗練さを身に付けた分、元気を失いました。

 

 昭和101年(令和8年)からの日本の課題は、洗練さと元気を兼ね備えた社会づくりだと思います。それができたとき初めて、昭和を回顧しなくても済むようになるのでしょう。

 

令和8年2月6日

院長 松本康宏

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