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2026/03/19

体験が体験を呼ぶ

 みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

 

 今回は、「体験」について話をしたいと思います。

 

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 高校生になってから少し勉強をしただけで成績が伸びる人がいます。元々、頭も良いのでしょうが、話を聞いてみると、小さい頃、本や図鑑をたくさん読んでいたという人が少なくありません。おそらくその体験が活かされているのでしょう。

 

 遊びも同じです。大人になって、初めてやろうとしても、簡単にはいきません。子どもの頃、体験したことがあるかどうかによって変わってきます。

 

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 人生を充実できるかどうかは、「好奇心」にかかっています。

 

 では、好奇心を抱いたり、好奇心を持ち続けるには、どうすればいいのでしょう。

 

 私は、2つ鍵があると思います。一つは楽しみを共有できる人がいるかどうか、そしてもう一つはこれまでやったことがあるかどうか、です。

 

 まず、前者についてみてみましょう。

 

 好奇心を持ち続けるには、「それを共有してくれる関係」が大事です。例えば、カメラに関心を抱いても、写真を見せる相手がいなければ、次第に興味が薄れてきます。あるいは、大きな魚を釣ってきても、喜んでくれる人がいなければ、楽しみは半減するでしょう。だから、何かに関心を持ち続けるには、一人ぼっちにならないことが大事です。

 

 次に後者についてみてみます。

 

 例えば、中高年の人が、家族から「家でじっとしていないで、釣りにでも行ったら」とか「将棋教室にでも入ればいいじゃない」と言われたとしましょう。しかし、これまでやったことのない人が、そう簡単に「やってみる」とは言えません。歳を取ってからだと、糸の結び方や将棋のルールを覚えるのも大変です。その点、少しでも経験したことのある人は違います。ちょっとしたことをきっかけに、またやる気が湧いてきます。すなわち、「体験が体験を呼ぶ」のです。

 

 

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 昨年、岐阜城に行ってきました。金華山にある山城です。

 

 朝早く出かけたため、ロープウェイはやっていませんでした。運行を待っているのも時間がもったいないため、歩いて登ることにしました。コースはいくつかあります。私は『馬の背登山道』という急峻な道を選びました。

 

 途中、手をついて登らないといけない崖もあります。荷物を持っていたため大変でした。“ハァハァ”言いながら、頭の中には、半兵衛の姿が浮かびます。「竹中半兵衛もここを登ったに違いない!」。

 

 半兵衛は、戦国時代の武将です。美濃に生まれました。体が小さく、位も低かったのでしょう。稲葉山城(岐阜城の前身)の城主、斎藤龍興(たつおき)の家臣たちからは、バカにされていました。「弱虫、腰抜け!」と言われ、おしっこをひっかけられたこともあります。

 

 そこで半兵衛は一大決心をします。仕返しを試みたのです。たった16人で稲葉山城を乗っ取り、城主を追い出しました。

 

 山城にのぼったからといって仕事の役に立つわけではありません。ただ何かきっかけがあれば「また行ってみよう」という気にはなりそうです。

 

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 ちなみに後日、たまたま半兵衛について書かれた箇所を読んでいると、「アレ?そうだったっけ!」。

 

 半兵衛は「人質に取られていた弟の見舞いをするとの名目で城に入った」と記されています。ということは、静粛な態度で入城したのでしょう。決して『馬の背登山道』をハァハァ言いながら登ったりはしていません。……読んだとき、少しへこみました。

 

 しかしながらこういった気付きもまた、体験が体験を呼んだ効果だと、今はいい方向に解釈しています。

 

 

令和8年3月19日

院長 松本康宏

 

 

追記:3月14日『新・当事者の会』が開催されました。準備をしてくださった方、発表していただいた方、ご参加くださった方、ありがとうございました。次回は横手で行われる予定です。多くの方々のご参加を期待しています。

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